【窓・サッシの選び方】断熱性だけで選ぶと後悔するかも?アート建工が選んだサッシの理由
この記事のポイント
・「樹脂サッシが一番」という声をよく聞くが、断熱性以外の総合性能ではアルミ樹脂複合サッシが優れる
・アート建工の標準仕様:アルミ樹脂複合+トリプルガラス(南面はペアガラス取得型)
・大手ハウスメーカーもアルミ樹脂複合サッシを採用している
・断熱性の差は家1棟のUA値で0.01程度。一方で気密性は約1.5倍、融解温度はアルミの方が約7倍高い
・アートラボ体験館で実際にサッシの違いを体感できる
はじめに
注文住宅を検討していると、「サッシは樹脂サッシにしないとダメ」「樹脂サッシが一番断熱性が高い」という話を耳にすることがあります。確かに、断熱性能の数値だけを見ると、樹脂サッシがアルミ樹脂複合サッシより高い場合があるのは事実です。
しかし、住まいの窓に求められる性能は断熱性だけではありません。気密性・耐久性・採光性・台風への耐性——これらを総合的に見ていくと、「断熱性の数値だけで樹脂サッシを選んだが、他の点で気になることが出てきた」というケースも少なくありません。
私たちアート建工では、長年の施工経験と様々な性能データをもとに、アルミ樹脂複合サッシ+トリプルガラスを標準仕様として採用しています。この記事では、なぜその選択をしたのか、樹脂サッシとの比較データをもとにご説明します。
① サッシの種類と特徴
まず、サッシの種類を整理しましょう。大きく3種類に分かれます。
| 種類 | 特徴 | 断熱性 |
| アルミサッシ | 熱を通しやすく結露しやすい。 コストは安い | 低い |
| アルミ樹脂複合サッシ | 外側アルミ(強度・耐候性)+内側樹脂(断熱性)。 性能を高いレベルで両立 | 高い |
| 樹脂サッシ | 断熱性の数値は高いが、 耐久性・気密性・耐風圧は複合サッシより劣る面もある | やや高い |
現在のアルミサッシは、断熱性の問題からほとんどの注文住宅では使われなくなっています。選択肢として実質残るのは「アルミ樹脂複合サッシ」と「樹脂サッシ」の2択です。
② 「樹脂サッシが最強」という話はなぜ広まったのか

樹脂サッシが注目されるようになったのは、断熱性能を示すU値(熱貫流率)の数値が高いからです。断熱性だけを見ると、確かに樹脂サッシの方が優れた数値を示します。
また、ローコスト住宅メーカーを中心に樹脂サッシが採用されており、「コストを抑えながら断熱性の高い窓が付けられる」というイメージが広まったことも一因です。しかし、大手ハウスメーカーはアルミ樹脂複合サッシを採用しています。「断熱性以外の総合性能」を重視した上での判断です。
③ 6つの視点で徹底比較
| 比較項目 | アルミ樹脂複合(LIXIL TW) | 樹脂サッシ(YKK APW330) | 判定 |
| 断熱性 | UA値:1.22(TG・AR仕様) | UA値:1.05(TG・AR仕様) | ほぼ同等(1棟の家でのUA値の差は0.01程度・体感できないレベル) |
| 気密性 | 引き違い窓100Pa時:3.9 m³/h・㎡(A-4等級) | 引き違い窓100Pa時:5.9 m³/h・㎡(A-4等級) | TW優位(約1.5倍の差) |
| 耐久性・耐候性 | 融解温度616〜654℃・引張強さ185N/mm²。ひび割れ・色落ちが起きにくい | 融解温度89℃・引張強さ34〜61N/mm²。夏の強い日射で変形・ひび割れの可能性あり | TW優位(強度・対候性で大きな差) |
| 採光性・デザイン性 | 同サイズでガラス面積が約30%広い。天井高2.7mまで対応可能 | フレームが太く採光面積が少なめ。天井高2.2mまでが主流 | TW優位(採光・空間の開放感) |
| 耐風圧・耐水密性 | 耐風圧S-4等級(換算57m/s)・耐水W-5等級(35m/sでも水侵入なし) | 耐風圧S-3等級(換算50m/s)・耐水W-4等級(29m/sで水侵入なし) | TW優位(台風・強風対策で重要な差) |
| 価格 | やや高め | 同条件で約10〜20万円安い | APW330優位(初期コストのみ) |
断熱性について
厳密に言うと樹脂サッシのU値は低く、断熱性能が少し高い数値です。しかし家1棟分でUA値を比較するとその差はわずか0.01程度。実際に生活していて体感できるレベルの差ではありません。「断熱性がほぼ同じなら、他の性能で選ぼう」というのが私たちの考えです。
気密性について
等級上は両方ともA-4等級(最高等級)ですが、実際の数値には差があります。強風時(100パスカル)に引き違い窓で計測すると、TWは3.9 m³/h・㎡に対してAPW330は5.9 m³/h・㎡。数値が小さいほど気密性が高く、約1.5倍の差があります。風が強い山陰の環境下で高気密住宅を実現するには、窓の気密性も重要な要素です。
耐久性・耐候性について
ここが最も大きな差が出る項目です。樹脂の融解温度は89℃。夏場に黒いガルバリウム外壁の表面温度は80℃を超えることがあります。また、温度による伸縮のしやすさ(線膨張係数)も樹脂はアルミの約3倍。長年の温度変化の繰り返しで、変形・ひび割れ・色落ちが起きやすいのです。アルミ樹脂複合サッシはJIS最高ランクA1種を取得しており、こうした劣化が起きにくい素材です。
採光性・デザイン性について
アルミ樹脂複合サッシはフレームの強度が高いため、枠を細く設計できます。同じ外形サイズでも、アルミ樹脂複合サッシはガラス面積が樹脂サッシより約30%広い。室内に入る光の量が増えるだけでなく、開放感のある空間づくりにも貢献します。また多くの樹脂サッシは天井高2.2mまでが主流ですが、アルミ樹脂複合サッシなら2.7mの天井高にも対応可能です。
耐風圧・耐水密性について
日本海側の山陰では、強い季節風や台風への対策も重要です。アルミ樹脂複合サッシは耐風圧S-4等級(換算風速57m/s対応)・耐水W-5等級(35m/sでも水侵入なし)に対し、APW330はS-3等級(50m/s対応)・W-4等級(29m/sで水侵入なし)。2019年の台風19号は最大風速55m/sに達しており、S-4等級のアルミ樹脂複合サッシなら対応できる強さです。
価格について
断熱性と併せて、樹脂サッシが優位なのが価格面です。同じ条件で比較すると約10〜20万円の価格差が出ます。これは初期コストの差です。気密性・耐久性・採光性・耐台風性能といった長期的な総合性能を考えると、私たちはその差以上の価値があると判断しています。
④ アート建工の標準仕様とその理由

私たちがアルミ樹脂複合サッシ+トリプルガラスを標準採用しているのは、こうした比較データを踏まえた上での選択です。断熱性は樹脂サッシとほぼ同等でありながら、気密性・耐久性・採光性・耐台風性能ではTWが総合的に優れています。鳥取・島根の気候——湿気が多く、冬の結露リスクが高く、日本海側特有の強風もある——を考えると、この組み合わせが最もお客様の快適な暮らしにつながると考えています。
アートラボ体験館では、実際にアルミ樹脂複合サッシと樹脂サッシを並べて体感していただけます。フレームの細さによる採光の違い、開閉時の気密感の違いなど、数値では伝わりにくい部分も実感いただけます。ぜひ一度お越しください。
⑤ ガラスの種類と方角の使い分け
サッシ(フレーム)に合わせて考えたいのがガラスの種類です。私たちが採用しているのはトリプルガラスですが、敷地によって南面だけはペアガラスのLow-E日射取得型を使うパッシブ設計を取り入れています。
| 方角 | 推奨ガラス | 理由 | 効果 |
| 南面 | ペアガラス(Low-E日射取得型) | 冬の太陽熱を積極的に室内に取り込む(パッシブ設計) | 暖房負荷の軽減・光熱費削減 |
| 東・西・北面 | トリプルガラス(Low-E遮蔽型) | 日射の侵入を抑えながら高い断熱性を確保 | 冷暖房効率の向上・結露防止 |
「南面はトリプルガラスの方が良いのでは?」と思われるかもしれませんが、ここには理由があります。南面の窓は冬の太陽熱を室内に積極的に取り込む役割を担います。トリプルガラスは断熱性が高い分、日射の取得量も下がってしまいます。南面の日当たりが良い土地の場合は、南面だけはペアガラス(日射取得型)を使い、自然の太陽熱をうまく活用する設計にしているのです。
事実光熱費で比較するとトリプルガラスからペアガラスに変えて起こる熱損失よりも日射取得が大きく上回るため、光熱費をベースで考えると日射取得が優先した方が良い場合がほとんどです。
まとめ
サッシ選びで断熱性能の数値だけに目が向きやすいのは理解できます。しかし住まいに求められる性能は断熱性だけではありません。気密性・耐久性・採光性・台風への強さ——これらを総合的に見たとき、アルミ樹脂複合サッシはトータルで非常に優れた選択肢です。
大手ハウスメーカーが長年採用し続けているのも、こうした総合性能の高さによるものです。「断熱性の数値で話題の樹脂サッシ」ではなく「総合性能で選ばれるアルミ樹脂複合サッシ」——その理由を、ぜひ一度アートラボで体感してみてください。
| 窓・サッシのことも、まるごとご相談ください アート建工ではアルミ樹脂複合サッシ(LIXIL TW)+トリプルガラスを標準採用。 アートラボ体験館で実際にサッシの違いを体感いただけます。 ▶ お問い合わせ・モデルハウス見学予約はこちら:https://art-kenko.com/ |